防衛予算とその財源 Q&A 〜その6
「財源として国債を発行すればいい」という意見もありますが、防衛予算を国債発行に依存することは国防上も問題があります。
まず第一に、防衛費を国債に依存することは、日本の金融・財政のリスクを高めます。現下の金利上昇局面で日銀や金融機関が保有する国債の時価が下落すれば通貨や金融システムの信認にも関わるため(こうした金融リスクこそ国にとっての脆弱性となります)、極力国債に依存しない財政運営に努めなければなりません。有事に資金調達できるためにも、財政の強靭性(レジリエンス)を保つことが必要です。
第二に、日本の財政構造が更に悪化すれば、防衛予算を安定的に確保することが困難となってきます。国債利払費の負担(1,000兆円を超える国債残高に対し、金利が1%上昇すれば10兆円の追加金利負担)はあらゆる経費を圧迫することになり、せっかく増やした防衛予算も継続できる保障はありません。今自由に使えるお金のように見える国債発行は、将来の大きな財政制約になるのです。
日本の金融・財政を持続可能なものにすること、防衛予算を安定的に確保すること、これらはどちらも日本の継戦能力に関わる問題です。