平成22年度 予算特別委員会「生活保護費の増加について」


鬼木 誠委員
自民党県議団の鬼木誠です。生活保護費の増加について質問いたします。
まず、資料要求いたします。福岡県の生活保護費の増加状況と市町村ごとの生活保護率について資料を求めます。
江口吉男委員長
お諮りいたします。ただいま鬼木委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
江口吉男委員長
御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
鬼木 誠委員
それでは、まず、資料について説明を願います。
岡河保護・援護課長

資料について御説明をさせていただきます。

まず、一枚目でございます。1で、生活保護費の推移について、平成十九年度より、今回御審議いただきます二十二年度予算案を含めまして、経過をグラフ化しております。

二番目は、被保護世帯の推移でございますが、同じく十九年度から直近の昨年十二月のデータでございます。全体的にふえている状況にございますが、とりわけ政令市を中心といたしました大都市部で伸びが激しいという状況が見てとれます。

一枚おめくりいただきまして、二枚目が、福岡県内市町村の市町村別の保護の動向でございます。各市町村ごとに大きな差はございます。とりわけ筑豊地域を中心といたします町村におきまして、いまだに保護率が高いという状況が続いております。これは、筑豊地域を初めとします旧産炭地におきまして、いまだに地域経済等の崩壊の影響が色濃くまだ残っている、雇用・経済状況がまだ低迷しているということも反映されているということでございまして、一番高いのが、右端真ん中くらいにございますが、川崎町が一番高い保護率でございます。ちなみに一番低い保護率が、左側の真ん中で、小郡市でございます。以上でございます。

鬼木 誠委員
生活保護費が伸び続けているということで、現在の雇用や経済の状況を受けてということでございました。特に二番のグラフでは、福岡市、北九州市という政令指定都市の伸び率が、保護世帯数の伸びが大きいということなんですが、何で政令市が伸びているのかという分析はいかがでしょうか。
岡河保護・援護課長
詳細な分析というのはできていない部分はございますが、傾向といたしまして、この景気、雇用の悪化を受けまして、大都市部に行きますと仕事があるのではないかという期待感が一つあるのではないかと。あと、例えば福岡県出身の方が、関東近辺で仕事をされていた、あるいは東海地区で働いていた方が失業して、地元に例えば戻られていた。人口の割合的に大都市は多いという部分もございますので、いろいろな複合的な要素がございます。それらのことだと考えております。
鬼木 誠委員
私は、生活保護というのは、働こうにも働けない人を保護するセーフティーネットとしてある制度だと思っていたので、働こうとしている人、働ける人までもらえるというのでちょっとびっくりしたんですけれども、仕事する元気も能力もある人ももらえるんですか、生活保護は。
岡河保護・援護課長
基本的には、働ける方については、能力を活用していただくということが前提になります。一方で、最低生活費という基準額に対しまして、手持ち金が全然ないと、例えば窮迫状況になるといった方に対しましては保護の対象になるということでございます。
鬼木 誠委員
窮迫状況にある方は対象になるということで、そこは私、認識不足だったんですが、それでは、もらえるハードルというか、基準というか、厳しさというのがどうもいろいろ市町村で違うようなんですよ。または、市長がかわると傾向が変わる。そういうものがあるようなんですが、そこに市町村の裁量というのはあるんでしょうか。生活保護を認定するに当たっての市町村の裁量というのは存在するんでしょうか。
岡河保護・援護課長
保護を受ける場合につきましては、先ほど申しました最低生活費という金額の基準というところで、これは国のほうで定めておりますが、この最低生活費より多いか少ないかということでございまして、そこに金額の多寡の違いはありますが、市町村の裁量というものはないと思っております。
鬼木 誠委員
社会的な公平性というものについて問いたいわけでありまして、おとといから言っております、この予算特別委員会の中で私が福岡県政について問いたいのは、働かない人が得をする社会なのか、それともまじめに働く人が報われる社会であるべきなのかということを問うていきたいと思っております。
本当に今の日本は、働かないほうが得だという国になろうとしていないかということなんですが、生活保護について、私の経験談をちょっと披露させていただきますと、私の同級生が、Aさんとします。Aさんが私のところに訪ねてきまして、自分は生活保護費をもらっていると、それで困ったことがあるから一緒に区役所に行ってくれということで、同級生が困っているのならいいよと言って、一緒に区役所に行ったわけですね。
すると、そのAさんは、自分は精神疾患があって生活保護をもらっている、子供もいると。一緒に区役所へ行くと、男性が一緒についてくるわけですね。この方はどなたですかと聞くと、いや、友人ですとだけ言って、男性がついてくる。
そして、一緒に区役所に行きますと、子供二人がいて、Aさんと子供二人の分が生活保護費をもらっていたと。しかし、子供二人は児童養護施設に預けた。預けた後に、預けている事実がわかって、養護施設に預けているんだったら、子供の分の生活保護費は出せませんよということで、子供二人分の生活保護費をストップされてしまった。そして、何カ月分かさかのぼって、もらい過ぎた過払いの分の生活保護費を引かれるようになったと。それで、Aさんは生活できないと言って区役所にどなり込んだわけですね。そこに私も一緒について行った。
ところが、区役所の方の説明のほうが正しいわけですね。私が一緒に聞いていて正しい。Aさんが言っていることは間違っている。決まりのとおりに役所はやっているということで、私はAさんに、いや、この件は役所の方が言っていることのほうが正しいよと、帰ろうと言って、帰ったわけですね。 すると、二、三日して、Aさんから電話がかかってきまして、鬼木のところは政党が違うのかと怒られるわけです。「は」と。「政党、何のことですか」と聞くと、議員を連れて区役所にどなり込めば生活保護費が出ると聞いたということで、私に怒るわけですね。いやいや、政党とか何とかは関係ないよと。生活保護の基準があって、それに合わない、不適格だからもらえないんだよという説明をしたわけですが、その件がずっと心にひっかかっていまして、後から考えると、これはすべて不正受給だったんじゃないかと。
後から後から考えると、可能性ではあります、断言もできませんが、不正受給だったのではないかという気になるわけですね。精神疾患だというのも果たして本当だろうか。知人ですと言ってついてきた男性は、本当は婚姻関係にあるのではないか。そして、戸籍上は離婚をして、その知人という男性も精神疾患ですと言っていました、自分も生活保護ですと言っていました。夫婦別々に生活保護費をもらい、奥さんのほうは母子家庭の手当、児童扶養手当をもらっている。子供は養護施設に預けつつ生活保護費はもらっていた。そして、困ったときには議員を使ってどなり込めば、出ないはずのお金が出る、そう聞いたと。
つまりこういうノウハウと言ったらおかしいですけれども、やり口が悪用する人たちの間で口コミなりインターネットなりで広がって、こういう方法を使えば生活保護費がもらえるよという形で広がっているんじゃないかという疑いを持ったわけなんですね。まさにこれは働かないほうが得だと、もらえるものはどうにかしてもらおうという考え方じゃないかということで、不正受給、私のケースは断言できませんけれども、大変なことだなと思ったわけです。
課長はこういう話を聞いたことが今までありましたか。
岡河保護・援護課長
そういうお話を承ったことがございます。
鬼木 誠委員
ありますというお答えが来るとは思わなかったので、私もびっくりしたんですけれども、不正受給は本当に厳しく取り締まってもらいたいんですね。これは働く人がばかばかしい。働かない人たちを食わせるために税金を払っているんじゃないよと。働かなくて食えるんだったら、おれも働かないよと。もう社会の崩壊なんですよ。いや、課長を責める気は全くないんですよ。知っていていただきたいんです。
それで、表の3を見ましたところ、保護費の受給率、都市部のほうが伸びは高いんですが、市町村別の動向を見たところ、郡部のほうが保護率が高い。私はびっくりしました。一七二%かと思って、どういう数字だと思ったら、これはパーミルで、千人中の百七十二人という数字なんですね。パーミルでもすごい数字ですよ。一七%ですから、百人中十七人が生活保護をもらっていると。
それで、これは実際に私が当たった話ではなく聞いた話なんですけれども、ある地域では生活保護が世襲化していると。将来何になりたいんだいと先生が聞いたら、僕はお父さんのような生活保護になりたいですという子供がいる地区がある。みんなそうしていると。みんな働いていないわけですね。そういう地区があるという話。これは私が目で見た話ではありません。あくまで聞いた話ではありますが、そういう状況については課長はどういう御認識でしょうか。
岡河保護・援護課長
委員御指摘のまさに保護の二世、三世というお話だと思います。私の考えで申しますと、やはり保護をずっと受け続けるということではなくて、先ほど委員からお話がありましたが、やはり働ける方にはきちんと働いていただく、自立をしていただくことが大事だと考えております。
鬼木 誠委員
本当に働かずに食べていけるのなら、そうしたいと思うわけですね。そして、そういう人たちが大人になって、生活保護で食べていく。そうなると、その人たちは働こうとしませんし、その前段階で、勉強しようとも思わないと思うんですね。私は、この市町村別の保護率、学力と関係あるんじゃないかなと。照らし合わせてみたらどんな数字が出るのだろうという気がします。ただ、私、文教委員なので、その質問は今回はこの場ではしませんが、要は不労所得が人間をだめにするといいますか、努力をしない人を育てるということになっていくんじゃないか。それは本当に国全体を、働かない人を働く人が養うという構図にしてしまうんじゃないかと、大変な問題意識を持っております。
それで、ちょっと新聞の投稿欄で、去年の四月の新聞だったんですが、私、大変印象深かったので、記事をとっていたんですよ。七十八歳の女性からの投稿がありますので、紹介させていただきます。
生活保護受給者が百六十一万八千五百四十三人、前年同月に比べ約六万二千人ふえたことが厚生労働省の集計でわかった。不況が長引けばどんどんふえるだろう。昔は、生活保護を受けるのは恥だという感覚があったが、今は権利との意識が強い。私は、十五のとき父を失った。当時は敗戦直後で、食糧不足とインフレ時代、母子七人の命は風前のともしびであった。母は、生活保護は受けるな、貧乏は恥ではない、貧乏に負けることが恥だと諭した。母の教えを肝に銘じた。厚生労働省は生活保護費を見直すべきだ。懸命に働き、苦労してかけた国民年金の受給額は一人約六万円。生活保護費はこれより高いようだ。生活保護が必要な人には、お米や衣類など実物支給にすべきだ。まじめに働く人たちが納得できる公平な政治に改革してほしいと。
そのとおりだと思うんですね。七十八歳の女性からです。昭和一けたの人たちの中には、本当によき日本の心が残っているなと、日ごろ触れ合う県民の方々でも、昭和一けた生まれの方の物の考え方に感動することがしばしばあるんですが、本当に戦前の教育が間違っていなかったんじゃないかと、立派な方だなと思わされることが多いわけです。
そこで、私が思うのは、セーフティーネットというのは、最低限のものであるべきだと思うんですね。銀行員時代に私は、お金を返してくれない人の家に行きまして、借りたお金を返してくださいという担当をしていました。そのときに、多重債務で借金まみれの人のうちまで行くわけです。そうしたら、どんな多重債務者もテレビと携帯電話は持っているんですね。そこに何千円も何万円も毎月払っているんですね。おかしいんじゃないかと思ったんですね。生きていく上での最低限のものを与える。憲法でも最低限の文化的な生活が保障されるとありますが、生きていく最低限のラインってどこだろうというのがどんどん甘くなっているんじゃないかと。
この七十八歳のおばあちゃんが言うように、換金できないものを現物支給すべきだと考えます。米なり、服なりですね。そこは県独自でできないものでしょうか。
岡河保護・援護課長
保護の実施の方法についてのお尋ねでございます。生活保護の保護費等の支給につきましてでございますが、生活保護法の定めによりまして、医療扶助、医療費に係る医療扶助あるいは介護扶助につきましては現物給付、それ以外の扶助につきましては原則的に金銭給付ということになっておるところでございます。そういう状況の中で、現在におきましても、例えば学校給食費あるいは介護保険料、それから住宅費等の一部直接払いが認められている経費がございます。これらについては、例えば学校長等への直接払いを行っているところでございます。
米等の支給ができないかというお尋ねについてでございますが、まさに生活を支える日常生活の経費についてでございますが、これらはどのくらいの量を支給するかとか、あるいは実務的にそれらを現物給付するといった実務レベルの話で、非常に困難な部分であると考えております。
鬼木 誠委員
子ども手当のところでも言いましたけれども、使い道自由の現金を渡すということの非常な難しさがあると思いますので、今後も現物支給というのは、いろいろ難しい面はあるとは思いますが、研究していただきたいと思っております。
それと、あとは不正受給の取り締まりですね。生活保護監査官、勝手に私が名前をつけたんですけど、そういう制度、監査官みたいなもの、係をつくって、不正受給を厳しく取り締まっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
岡河保護・援護課長
生活保護の監査事務についてでございます。まず、国のほうで生活保護監査官という職名の配置をいたしておりまして、全国的な監査を実施しているということでございます。国だけではままならない部分、監査の部分につきましては、各都道府県、指定都市に委託をされておりまして、私ども本県の監査を実施しているところでございます。
鬼木 誠委員
監査官という名前で存在しているというのを、済みません、私、存じ上げませんでしたので、それは県も委託を受けているということですので、今後の運用だということで、見守らせていただきたいと思います。
最後に、受付窓口ですね、生活保護の受付窓口が不正受給をまずシャットアウトしなければならない。受付窓口は、あらゆる恫喝に打ち勝って、正しい受給をすべきだと思います。市町村になるのかと思いますが、その指導の徹底をお願いしたいと思いますが、課長、いかがでしょうか。
岡河保護・援護課長
いわゆる保護を受けてはならない方からの排除と申しますか、対応についてのお尋ねでございますが、各福祉事務所のいろいろな創意工夫によりまして、例えばケースワーカーの経験者を面接相談員という形で配置する等の工夫によりまして、現在、面接相談に実は対応しているところでございます。私ども、先ほど申しました指導監査の場面で、保護が適正に行われているかどうかという目線できちんと対応してまいりたいと思っております。
鬼木 誠委員
生活保護を受けにくる方々ですから、確かにかわいそうだと、困難な状況にあってかわいそうだというのは確かでございます。そういう中で、経済も困難な状況で、生活保護の支給について厳しくしろという意見は実際、胸が痛むといいますか、国民の理解がどれだけ得られるかという気もしております。しかし、本当に国民のためを思う取り組みはどっちなんだというときに、やっぱり最初のテーマですね、働かない人が得をする社会ではなく、まじめに働く人が報われる社会であるべきだということを思ったとき、この七十八歳のおばあちゃんの言っていることが物すごい説得力があるんですね。おばあちゃんが、七十八年間一生懸命納めてきた国民年金、納めてきたおばあちゃんが六万円しかもらえなくて、何もしていない人が困りましたと言ってもらいにきた生活保護がまかり通るという社会に今なろうとしている。本当にこの制度自体もいろいろな見直しが必要だと思うんですが、特に今回は不正受給について厳しい審査をしていただきたい、支給をしていただきたい。
最後に部長からその取り組む姿勢を伺って、終わります。
吉岡福祉労働部長
この生活保護と申しますのは、国民の最低限度の生活を保障すると、そういう意味合いでは、本当に必要とする人にはきちんと適用されねばならない。一方では、今、御議論いただきましたように、典型的には不正受給に見られますように、不正があってはならないし、ましてや我々、この生活保護を適用する前段としまして、やはり働ける能力を持っている方は、能力、意欲を持っている方にはきちっと働いてもらいたいと、まず自立の道を最大限追求してもらいたいと、こういう思いで、先ほども議論がありましたけれども、第二のセーフティーネットの活用を使っての自立への支援、あるいは生活保護の相談を受けました際にも、働ける方には極力就職の努力をしていただくと、こういう方向で取り組んでおります。
今、いろいろ御議論いただきましたのは、制度自体というよりも、むしろ運用している我々に対する御叱正だと私は感じました。そういう意見をしっかり肝に銘じながら、生活保護行政に当たってまいりたいと考えております。
鬼木 誠委員
終わります。ありがとうございました。

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