3月26日、県議会の最終日に、麻生知事は空港問題の結論を発表しました。新宮沖に24時間離発着可能な海上空港を作る新空港建設案か? 現在の福岡空港に滑走路を増設する現空港増設案か? 注目の決断は、現空港の増設案で決着となりました。
空港問題は50年後、100年後といった福岡の将来像と密接不可分です。長きにわたって世論を二分してきたこの問題、みなさんはどう考えたでしょうか?
今号では、空港問題がどういうプロセスで決着したのか、そのとき議員はどう動いたのか、顛末をレポートしたいと思います。
空港問題、私の考え
まず、私の基本的なスタンスから述べたいと思います。私の考えは現空港の増設案支持です。簡潔に理由を言えば「現空港の利便性が損なわれたうえ、新空港建設費用に見合った需要があるのか極めて不明確」ということです。現空港の利便性は今の福岡の競争力に直結しています。福岡市民はこの利便性を愛しています。私がことあるごとに聞き取りした結果でも、福岡市民の8割方は新空港建設に否定的な意見だったというのが実感です。これから少子高齢化が進む中で、どれほどのアクティビティの増加があるのかは疑問です。さらに、空港が移転した場合「空港跡地の開発」や「天神の高さ制限がなくなる」結果、福岡の地価が暴落するのではないか? という懸念があります。
議員はどう動いたか?
市民の中には「大型公共事業は市民の声を無視して強引に進められていく」という諦めにも似た怒りの声が聞かれていました。そんなときに、議員はどういう動きをしていたのでしょうか? 国会・県議会・市議会、各議員も新空港建設賛成派と反対派の狭間で苦悩していました。自民党福岡2区では、山崎拓代議士主催で市議・県議との意見交換会が開かれました。もともと新空港建設支持であった山崎代議士に対して、私をはじめ数人の議員から反対意見がでました。その意見には、市民の意思やさまざまなデータの裏付けがあり、大変な説得力がありました。地方議員の意見に十分耳を傾けた結果、山崎代議士は直後の記者会見で新空港建設支持を白紙としました。空港問題の決着には、こうして民意を汲み取るプロセスがあったことも事実です。
福岡の将来像を語ろう
しかしながら私は、新空港建設議論を「公共事業=利権=悪」という話で片付けるべきではないと思っています。公共事業の要・不要は、そのインフラの必要性と投資効果によって評価されるべきです。このたびの空港議論は「100年後の将来、どんな福岡を望むのか?」という市民の意思を問う第一歩だった気がします。今回の決着は「福岡に巨大過ぎる開発はいらない」という福岡市民の判断があったと私は思います。福岡市民は、今の福岡が好きなのです。東京みたいになりたいとは思っていないのです。自然があって、祭りがあって、混雑してなくて、食事が安くておいしくて、人情があって、コンパクトな範囲に何でも揃っていて……という福岡。そろそろ私達は、幸せと豊かさのモノサシを見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。「高度経済成長時代の発想から脱却せねばならない」というのは、日本の政治のテーマでもあると思います。
見えてきた課題
麻生知事の最終意見書には、新空港建設についてなお含みが残されています。福岡が九州の中心としてアジア大交流時代が始まったなら、長期で見た福岡の発展のためには、やはり24時間空港と市街地整備が必要だという考えです。また現空港には、年間150億円とも言われる借地料・騒音対策費という問題が残されています。100年経てば、これらの費用で1兆5千億円が出て行くわけです。こうした課題もふまえて、今後さらに空港のあり方、福岡の将来を考えていかなければなりません。
モノを言う政治家を見直そう——コラム「鬼が斬る」——
世論を二分する論点では、政治家は口を開くと損をするばかりです。ひとつの論点で立場をはっきりさせれば支持者が半分となり、もうひとつの論点で立場を明確にすればさらに支持者が半分になる……。しかし! それにひるんでばかりいられません。政治家は自分の信念で行動する必要があります。知事や財界の言いなりなら、議員なんて要りません。また、マスコミが作った世論の言いなりになるのなら、やはり議員は要りません。議員は、地元の意見に十分に耳を傾けたうえで、政治家としての信念に基づいて決断をくださなければなりません。個々の決断に対する賛否もあるでしょうが、勇気をもって自分の信念を貫く政治家に対しては、一定の評価を下す目も有権者には必要だと思います。

