戦後日本は、瓦礫の山の中から力強い復興を遂げてきました。高度経済成長時代を経て、私達の暮らしは人類の歴史の中でも類を見ないほど豊かで便利なものとなっています。亡くなった私の祖母は、夕食をとり、お風呂に入り、こたつに入ると、「極楽、極楽」とよく言っていたものです。しかし豊かで便利になったはずの私達の生活実感は、必ずしも満足ばかりではありません。誰もが現状への不満や将来への不安を抱えています。それはなぜでしょう? 現在の日本はどういう状況にあるのでしょうか? これからの日本を語るうえで前提となる基礎的な事実について、今回は特集いたします。

少子高齢化社会

医療の充実とともに長寿化が進み、日本は世界トップクラスの高齢化社会となっています。2007年の高齢化率(人口に占める65歳以上の方の割合)は21.5%となりました。15歳から64歳を「支え手」として計算した資料によれば、現在、3.3人でひとりの高齢者を支えていることになります。学生など働いていない人を除けば、本当はもっと少ない人数でお年寄りを支えていることになります。これからさらに「支える世代」が減っていく(少子化)のに対し、「支えられる世代」は増えていく(高齢化)構図です。この人口バランスで年金や医療といった社会保障を維持していくこと自体、大変困難なことです。

現在の日本の収支

日本の年間収支(H20年度)の内訳・円グラフ日本の年間収支をわかりやすくおおまかに示します。近年の日本の年間予算は約80兆円。そのうち国民のみなさんに納めていただく税金は50兆円なので、残りの30兆円は借金に頼っています。これが収入の内訳になります。一方支出の内訳、つまり80兆円の使い道は、借金の返済に20兆円、地方へ渡すのが15兆円、社会保障に20兆円、そして残りの25兆円で教育・防衛・公共事業などに充てているわけです。さらに社会保障費が、今後ますます増加することは間違いありません。公債依存度は30%。家計の3割を借金に依存しているという大変な状態です。こうして借金が増え続ける財政状態は、持続可能だとは言い難いものがあります。税金の無駄遣いは絶対に許されませんし、それをなくす努力は徹底していきますが、もはや「税金の無駄使いをなくせば収支がよくなる」というレベルの話ではありません。根本的な収支バランスの改善が必要です。

経済成長時代の政策

高度経済成長時代、国は道路や上下水道といった様々なインフラを整備してきました。全ての国民はその恩恵に預かり、国民生活は向上したと言っても過言ではないと思います。そうした社会資本の整備のための資金は、基本的に国の長期の借金によってまかなわれました。なぜならこれらのインフラは、次世代、次々世代の方々も利用するからです。そうして世代間の負担の公平を図るため、建設国債が発行されてきました。しかしながら、経済成長が停滞した現在、積み重なった借金の大きさが問題となっています。

政治はどう変わる

少子高齢化の人口構成で、1000兆円を超える国・地方の借金を抱えて、私達はこの国を背負っていかなければなりません。時代に即応した政治、高度経済成長時代の発想からの脱却が必要です。地方に投資し、利益を分配してありがたがられる政治の時代は終わりました。これからはコストを分配する時代です。誰がどれだけ負担するのか? 今まで避けて通ってきたことを正面から議論しなければいけません。コストの分配は嫌われ役です。それでも責任持って持続可能な社会作りに挑むのが、これから本当に必要な政治の姿です。

防犯カメラの無料設置!——コラム「鬼が斬る」——

警察委員会の副委員長を仰せつかって一年半、治安に関する様々な陳情が私のもとに寄せられます。その中でも複数の商店街から熱望されているのが防犯カメラの設置です。防犯カメラは設置するのにまず多額の初期投資が必要ですし、設置後もランニングコストがかかります。どの商店街にとっても資金のメドが立たないというのが悩みのタネでした。ところがそこに今、希望の光が射しています。防犯カメラを無料で設置する仕組みが開発されたのです。現在、唐人町商店街でその実現に向けた取組みを進めています。実用化が可能であることが立証されれば、ぜひ全県に広めていきたいと考えています。