森林環境税
このたび福岡県議会12月議会において「森林環境税条例」が可決されました。これは荒廃した森林の再生を図る費用にあてるため県民税を今までより年額500円多くいただくものです。誰だって支払う税金が増えるのはイヤなものです。日々の生活の中で森林からの恩恵を直接感じられない都市部の住民にとってはなおさらです。今なぜこの税金が必要なのか、県議会において慎重な審議が行われました。今号ではこの新税創設という大事な場面においての説明責任を果たしたいと思います。
森林の役割
森林にはさまざまな役割があります。木材生産だけでなく、水や酸素の供給、土砂災害の防止や洪水・渇水の緩和、地球環境の保全などの公益的機能を有し、県民の生活に多くの恵みをもたらしています。福岡市で生活していると気がつきにくいことですが、森林は県民共通の大切な財産です。
森林の荒廃
しかし福岡県では現在、手入れのされない荒廃した森林が増えています。国産材価格の下落で林業の採算がとれないこと、林業従事者の高齢化や減少などがその原因です。県内の人工林面積の約1/4を占める2万9千ヘクタールが荒れた状況にあり、このまま放置すればさらに拡大するおそれがあります。確かに空気も酸素もタダですが、その大元である森林整備にはコストがかかっているのです。もはや「誰かがやっとけばいいっちゃん」ではすまされないところまできているのが現状です。
森林が荒廃すると?
健全な森林は保水機能があるため、洪水の緩和の役割を果たしています。またそうして地中に蓄えられた水は地下水となってゆっくりと河川に流れることから渇水の緩和にも役立っています。こうした保水機能から、森林は「緑のダム」と呼ばれているほどです。その森林が荒廃すれば、土壌の支持力が弱まり土砂崩れなどの災害の原因となります。
地球温暖化防止の積極策
また森林は、光合成により酸素を供給するとともに温室効果ガスである二酸化炭素を吸収しており、地球温暖化防止に重要な役割を果たしています。地球温暖化の防止を目的とする京都議定書ではCO2の削減目標が定められましたが、私達が日々の生活の中で劇的に 排出を削減することはなかなか難しいものです。民間企業でもCO2削減に代わる社会貢献として森林整備を行う会社が増加しています。森林整備の充実は地球温暖化防止のためにできる積極的な取り組みです。
課税の方法とその使い道
個人の場合、個人県民税に500円(年額)を上乗せさせていただくことになります。法人については資本金の額に応じて法人県民税の現行額の5%をいただくこととなります。こうして県民のみなさまからいただいたお金は森林環境税基金に積み立てられ、間伐などの森林整備や広葉樹の植栽などに利用されます。資金の使い道を透明に明確にするためにこの基金方式が採用されました。
森林の再生
2万9千ヘクタールの荒廃森林の再生のためには130億円必要だとの試算があります。森林環境税は年間約13億円が見込まれ、およそ10年で本県の森林を再生できるという計算になっています。私達が支払う年額500円で福岡県の森林が再生されるのです。どうぞご理解のうえ、本県林業のこれからや環境行政に関心を持っていただければと思います。
今回のレポートが、「県議会の仕事って何だろう? いつも何を議論しているんだろう?」そうした素朴な疑問へのひとつの答になったなら幸いです。
政令市における県議の役割とは
政令指定都市である福岡市は、他の市町村と比べ行政に対する県の関与は大きくありません。福祉行政にしても、道路を作るにしても、県から独立して自前の権限や財源を持っているからです。そこで「政令市には県会議員はいらない」と言う人も出てきます。果たしてそうでしょうか? 県議会は県全体のことを話し合う議会です。それを運営する財源は県民から預かった税金であり、福岡市民からも少なからぬご負担をいただいています。当然福岡市民を代表する声がなければなりません。また今回のレポートにもあるように、水や環境といった問題は受益者である福岡市民にとっては身近な話ではないかもしれませんが、実は県内の市町村の恩恵にあずかっているということが多々あります。こうした広域行政の調整なども県議の仕事です。「公金を地元に引っ張ってきて何かを作るのが議員の仕事」という時代ではありませんよね。まっとうな人のまっとうな意見が反映される県議会でありたいと思い、私は活動しています。

