今回のテーマは、大きな社会問題となっている多重債務についてです。多重債務とは、みずからの返済能力を超えて借り入れをしてしまい、借金を返済するために借金を重ねなければならなくなっている状態のことです。雪だるま式に借金が借金を生む状態であり、破綻は時間の問題と言えます。バブル崩壊後、経済状況の悪化に伴い、個人、法人を問わず多重債務に苦しむ方が急増しています。私が銀行に勤務していた時分から今日に至るまで、多くの方からの深刻な相談を受けてきました。この問題は社会構造上の問題でもあり、他のいろいろな社会問題とも密接な因果関係を持っています。この問題の解決の重要性を御理解いただきたく今回のテーマといたしました。平成十七年十二月議会の一般質問において、より深く突っ込んだ質問をしていますので、ご興味のある方は福岡県議会のホームページで議事録をご覧ください。

経済的理由による自殺・破産・ホームレス

 二万人から二万五千人の間を推移していた日本の自殺者が、一九九八年、三万二千八百六十三人に急増し、社会問題化しました。

94〜04年までの自殺者数推移グラフ この一九九八年の自殺者にはもう一つ特徴があります。経済的困窮を原因とする自殺者が前年比一七〇・三%と急増したことです。そして、一九九八年以降、経済的理由の自殺者は年々増加し、自殺理由の四分の一以上を占めるまでになっています。さらに、一九九八年には自殺者の人数に対応するように自己破産者が急増し、前年比一四七%の十万五千四百六十八人となりました。また、福岡県の自己破産者数は人口比で全国第二位となっています。こういった経済破綻が生み出した社会問題の一つがホームレス問題です。ホームレス者の六割が多重債務者であると言われ、経済状況の悪化に伴いホームレス者も増加を続けています。このように、経済的理由からの自己破産、自殺、ホームレスの急増は社会的大問題です。

事業者のケース

 資金繰りに困った事業主が会社の延命を図るために金策に奔走します。初めは銀行融資ですが、融資が厳しくなるにつれ、より金利の高いところから借り増しし、たくさんの身内を保証人に立てさせられます。市中のノンバンクに始まり、そこでも難しくなると無許可営業の高金利の金融、いわゆるヤミ金に手を出し、間もなく会社は倒産となります。会社や自宅といった担保物件が差し押さえられ、保証人に立てさせられた身内に取り立てが迫ります。返せないとわかっている状態の人に貸し、その家族や親戚から根こそぎむしり取るやり方は見ていられません。

一般個人のケース

 一般家庭が多重債務に陥る理由の大半は、生活のための借金です。また、失業、倒産、収入減少といった社会構造に起因するものもかなりの割合を占めています。テレビCMの影響もあり、今では消費者金融も随分借りやすい雰囲気となってきました。それだけに多重債務、経済破綻はだれにも起こり得る問題であることをここで訴えたいと思います。

行政はどう対応すべきか

 多重債務に陥った方の相談先、そして解決のための機関が必要です。県には消費相談センターやクレジットカウンセリング協会がありますが、これらの機関がしっかり機能しているかは今後もチェックしていきたいと思っています。

 また何よりも、弁護士・司法書士など法律の専門家への相談が大事であることを皆さんにお伝えしたいと思います。さらに私が訴えたいのは教育です。「足りないから借りる」という発想を、子どもだけでなく大人も変えていかなければなりません。毎月の生活が苦しい中で借金をすれば、返済しながらの生活がもっと苦しくなるのは明白です。収入の範囲内で生活することを考えなければなりません。モノが溢れる豊かな時代、我慢や倹約というものが見直されるべきではないでしょうか。

福岡市消費生活センター
TEL:092-781-0999(相談)
FAX:092-712-2765
月〜金 9:00〜17:00
福岡市中央区舞鶴2-5-1(“あいれふ”7階)
第2・4土曜日は電話相談のみ受付(9:00〜17:00)
福岡県消費生活センター
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月〜金 9:00〜17:00
福岡市博多区吉塚本町13-50県吉塚合同庁舎内

国と地方の借金を減らすために

 国の借金総額が、2005年末時点で813兆円に達しました。この数字は国民一人あたりで636万円に相当します。赤ちゃんからお年寄りまでこの借金を背負っているのです。私は財政問題に強い問題意識を持ち、県議会の中でも積極的に財政再建についての提言を行ってきました。

 借金を減らすためにもっとも基本となることが「単年度の収支を黒字化すること(プライマリーバランスの黒字化)」です。収入と支出を比べて毎年赤字では、借金は減る訳がありません。足りないから借りる、借金を返すためにまた借金をするという不健全な状態です。とはいえ、県には財源があまりに少なく、工夫する余地さえわずかであるというのが実情です。国に対して地方へ権限と財源を移譲するように求める「三位一体の改革」に期待し、全国知事会長である麻生知事に地方の声を発信してもらっています。