おにきどん文庫」に分類された日記

明治人の姿/櫻井よしこ/小学館101新書

この本は櫻井よしこさんが書いた本であるが、その元になった本がある。長岡藩の筆頭家老の娘である杉本鉞子(えつこ)さんが書いた「武士の娘」である。これに感銘を受けた櫻井さんがわかりやすくまとめたものがこの本だ。

杉本一族は、幕末の激動期に佐幕派の長岡藩にあって大変な苦労をされた。鉞子さんの父は切腹、祖父は暗殺で亡くなった。
しかしこの本で語られるのは、苦難に対する悔やみごとではない。困難を前に、たじろぎもせず凛然と運命に向かった人々の美しい生きざまである。

第一章「武家の教育」、第二章「武士の妻」は、特に読みごたえがあった。
かつての日本人の高貴な生きざまを学ぶには最適な入門書であろう。

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「明治という国家」司馬遼太郎:日本放送出版協会
「堂々たる日本人」泉三郎:祥伝社黄金文庫
今回のおにきどん文庫は、2冊一組でのご紹介。

シンガポール視察に携行した本はこの2冊。テーマは「明治国家に学べ!」。
「堂々たる日本人」は、岩倉具視を団長とする欧米視察団の物語。
日本の歴史の中で幕末の革命期が好きだという人は多いが、私が今歴史の中で注目しているのは明治建国の躍動期だ。明治という国家を作った先人達に思いをはせ、勇躍シンガポールに乗り込んだ。

江戸幕府瓦解後の日本が、どのように国家を作り列強諸国に互していったのか? その努力や気概、道のりを垣間見ることができる。

現在の日本は、戦後の高度経済成長時代から、高コスト低成長の少子高齢社会に突入している。歴史の転換点を迎え、国のあり方、諸外国との付き合い方、次代を担う政治家の気概、明治に学ぶところは大きい。
ぜひぜひ2冊併せて読むことをお勧めします。

photoバカの壁 (新潮新書):養老 孟司

おなじみ養老孟司さんのベストセラー。
以前紹介した松本人志さんと共通するのは「物事を本質まで掘り下げて見抜く力」である。
世の中で当たり前とされていることに、普段私達は何の疑問も抱かず生きている。ところがこのクラスの賢い人は、「何か違う...。ほんとはこうなんじゃないか!?」と、突飛なことを言い出す。
その立場が芸人か学者かで表現方法も伝わり方も違うが、こうした賢い人の話は魅力的である。

さてこの本、表題通り「バカの壁」について語られている。
互いの基礎認識が違うとどんなに言葉を尽くしても理解を得ることはできないという壁、人間は自分の頭に入ることしか理解できないという壁だ。

政治について触れている部分も興味深い。
「政治家は、人間はどこまでバカかというのを読み切らないといけない」
うーん、蓋し名言。

つくづく政治を志す者は人間を学ばなければならないなと再認識させられた。

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「政治家の品格、有権者の品格」金 美齢~ゴマブックス

私が「おにきまこと政治塾」で講義を行う際、冒頭に必ず言う言葉がある。
「政治家と有権者とは車輪の両輪である。政治家がまっすぐに進もうとしても、有権者が曲がった要求をすれば政治は曲がる。有権者がまっすぐな政治を求めても、政治家が曲がった私欲に走れば政治は曲がる。政治という車をまっすぐに走らせるためには、政治家と有権者が同じベクトルで前に進まなければならない。」
この本はタイトルどおり、まさに政治家と有権者のあり方について書いたものである。
現在の日本の政治は、マスコミ世論に政治が擦り寄るポピュリズムに陥ろうとしている。
信念を貫く政治家と、そんな政治家を支える国民の必要性がこの本では説かれている。

台湾人という運命に翻弄されてきた金さんは、国というものの大切さをよく知っている。
台湾の方から日本の素晴らしさを教えられたり、国の行く末を心配されたりする現状を、私は日本人として恥ずかしく思った(金さんには感謝しているが)。
186ページからの「おわりに」を読むだけでもこの本の価値がわかると思う。

「国とは依存するもの、あるいは権力を振りかざして自分たちの自由を侵害する悪いものだと思い込み、平然とないがしろにしていられるのだと思います。実に残念で悲しいことです。」
「この危機に対応するには、本当の意味で日本の将来にわたる国益を第一に考え、その信念を国政の場で実践できる品格ある政治家が不可欠です。一方で有権者は、メディアの偏った情報に惑わされず、政治家の甘い言葉や中身のないパフォーマンスなどにも騙されない賢さが必要です。」
「良い政治家を選び、育て、監視できる賢い有権者になるための一助となれば、著者としてこれ以上の喜びはありません」

今の日本人に「政治家を育てる」という感覚があるだろうか?
ひとごとのように「政治が悪い」という前に、もっと前向きな形で政治に関与するべきだと思う。
何度も言うが、民主主義において政治家と有権者は車輪の両輪なのだから。

非常に読みやすく内容も濃い本なので、ぜひご一読いただきたい。

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