平成22年度 予算特別委員会「知事保留質疑」
- 鬼木 誠委員
- 自民党県議団の鬼木誠です。
- 早速、「コンクリートから人へ」についての知事保留質疑を始めさせていただきます。
- 抽象的に説明されたときに大衆は判断を間違う。これはマキャベリの言葉です。私は予算特別委員会の中で、「コンクリートから人へ」というキャッチコピーについて検証しました。このコピーは、土木や建築にお金を使うのは無駄遣いで、福祉や教育など直接人にかかわるものに使うべきだという意味で使われてきました。無駄な公共事業を削減して、その予算を福祉などに回すものだと国民は受けとめていますが、ちょっと考えてみてください。それはそもそも初めから不可能な約束です。公共事業を削減した分は建設債の発行が減るだけで、福祉や教育のための財源は出てきません。公共事業は長期の投資だから、長期で返済する公債の発行が認められるんです。バランスシートでいうところの固定資産を長期資金で賄うということです。ところが、教育や福祉、また子ども手当などというものは、何の社会資本も残さない経常支出です。これは公債という長期の借り入れで賄うべきものではないと私は考えます。経常支出を賄うのに長期の借り入れを起こせば、毎年長期の借金が累増していくことになるのです。経常支出にはそれを賄う財源が必要なのです。
- ところが予特質疑の中で、子ども手当にはっきりした財源がないことが明らかになってきました。つまり、財源不足の子ども手当は、毎年莫大な赤字国債を累増させるということが明白なのです。半額支給で始まったことしでさえ地方の負担が問題となっています。来年度以降、決定的に財源が不足している子ども手当が国民にとってどのような負担になっていくのか、地方にとってどんな負担になっていくのか、極めて不透明で心配なところでございます。
- 全国知事会長である麻生知事には、ぜひ、財源不足の子ども手当の強行に異を唱えていただきたいと思います。
- まず質問いたします。子ども手当は財源不足であり、国の財政バランスを大きく崩すという点について知事のお考えをお聞かせください。
- 麻生知事
- 子ども手当は、確かに巨額のお金がかかるんですけれども、一方で、日本の抱えている非常に本質的な問題は、余りにも急激に少子化が進んでおるということでございまして、これに対して何らかの有効な対策をとらなきゃいかんと。これは、だから、いわゆる国力という広義の概念の一番基礎部分が急速に弱体化しているという実態があります。それに対して、この子ども手当という子育て、子供の養育費用を社会的に負担するということによって、より子育てができるように、あるいはいろいろな、この子供をふやそうという経済的な条件を整えようということであります。
- したがって、高額なお金がかかるんですけれども、私は、これは何とか一生懸命やるべき政策であると基本的には考えております。
- 鬼木 誠委員
- 財政のバランスという話をしました。これだけ大きな赤字国債を発行してもやるべきかどうかというところは、まさに政治判断、価値観の問題でありますので、さらなる議論が必要なところなんですが、次に私が言いたいのは、子ども手当の使い道といいますか、中身について私は疑義があるわけです。子ども手当の政策目的は、知事がおっしゃったとおり次世代の子供を育てることにあると言いますが、そうであるならば、この子ども手当の資金の使い道を定めることが必要ではないでしょうか。子供を育てるために支給されるお金が、パチンコに使われようが、主婦のランチに使われようが構わないという実施法でいいのでしょうか。使い道自由な現金を世帯に配るというのは、目的ある政策としては最低な実施法ではないでしょうか。資金の使途を定めることが必要だという私の考えに対して、知事のお考えをお聞かせください。
- 麻生知事
- この子ども手当の目的は、さっき言いましたように、子育てをするとそれにはいろいろなお金がかかると。食べ物から始まって、着る物とか、いろいろな教育のお金もかかると。それを親御さんだけに負担させるのではなくて、社会全体でその一部を持ちましょうという考え方なんです。あと、それをどういうふうに使うかと。よく言われるような塾にばかり使うのか、ちゃんと食べ物とかいろいろなことに使うかというのは、それは親の皆さんの一つの判断ということでやっていこうということなんです。これをパチンコに使ってないかというので、一々チェックというのは現実問題としてできないし、また、そういうことを一々チェックするということも、この制度の趣旨から見ましても適切ではなくて、親、両親にそこはやはり趣旨を理解してもらい、そして、そのためにいいように使おうという認識、これをやはり深めてもらうと。
- したがって、今回の法律もそうなんでありますけれども、今回の趣旨も法律では明確に子育てのために使うものですよということを言っておりますけれども、そういうものを皆さんによく認識してもらうということが大事だと思います。
- 鬼木 誠委員
- 使い道について一々チェックはできないと。そのとおりだと思います。だからこそ、使い道を子育てに限定するような政策としての枠組みが必要だというふうに私は主張しているわけなんですね。ただ、現状、とにかく現金が配られるという形で、それに対する方策が、認識を深めてもらうということだけでは不十分だと私は思うんですね。それで、この子ども手当が、仮に来年から全額支給となれば、毎年五兆三千億円のお金が、国民があてにする生活費になるわけですね。国民が、子育てにはお金が要るというから政府がお金をあげますというのでは、国民に対するとんでもない迎合になってしまうのではないかなと私は思うんですね。
- 親が食わずとも、子には食べさせる。親がぼろを着ても、子供は学校に行かせる。それが日本人ではなかったでしょうか。そうして育てられた親の恩が身にしみるからこそ、私たちはまじめに働き、立派に生きていかなくてはならないと思うのではないでしょうか。諸外国が出生率を増加させているからといって、現金給付をまねする必要はないと私は考えます。むしろ、今日本人に必要なのは、親が子供を育てるという責任と自立心だと思います。責任を持って子供を育てるのは親である、家庭であると私は考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。
- 麻生知事
- 子育ての中心はおっしゃるとおり親でございまして、親がやはり愛情を持ってしっかりしつけをしながら子供を育てていくということが一番基本であります。また、その親の姿を見ながら子供は育ち、また、親孝行もするということにもなり、責任ある人間として育つわけであります。
- それはそうなのでありますけれども、もう一方で、じゃあ現実に子育てをするに当たって、多くの子育ての親御さんたちが経済的には大変厳しい状況にあるという家庭が多々あるわけでございますから、それに対して経済的な支援をしていこうと。社会的に子育ての費用を広く、社会全体として負担していこうではないかということであります。これをやったら、親が子供を育てるという基本的な考え方がそんなに損なわれることになるのかといいますと、これは必ずしもそうじゃなくて、この制度の趣旨が社会的に広く、子供というのは社会全体のものとして大事なんだから応援しますよということの意思表示だと理解されるんじゃないかと思います。
- 鬼木 誠委員
- 社会が子育てを応援しますよという意思表示が、二兆三千億円も五兆三千億円も毎年経常的にかかっていいのだろうかと。そこは価値観の問題なのでこれ以上言い合ってもしようがないと思うのですが、私は大変疑問に感じております。
- 私は、子供は親、そして家庭がその責任において育てるべきだと思っております。そこに、それぞれの家庭の自己責任、自助努力というものが必要だと思います。私は、現政権に決定的に欠けている精神が国民の自己責任、自助努力だと思います。私はこの予算特別委員会では、一つの一貫したテーマを持って質疑に臨んできました。それは、働かない人が得をする社会か、まじめに働く人が報われる社会か、福岡県はどちらを志向するのかということです。
- そこで、最後に知事に伺います。働かない人が得をする社会か、まじめに働く人が報われる社会か、福岡県はどちらを志向するのかお答えください。
- 麻生知事
- これは、答えないといかん質問なんですかね。そのような設定をしたら、まじめに働く人が報われる社会をつくるというのは当たり前じゃないですか。そんな質問を私が受けるとは全く心外ですね。働かないでぶらぶらする人たちが報われるような社会なんてつくっちゃいかんですよ。質問を受けるまでもない目標じゃないですか。
- 鬼木 誠委員
- 知事が憤慨されるのも無理はない失礼な質問でありましたが、しかし、やはり今の日本の政治の流れを見ていますと、正直者がばかを見る政策がいっぱいあるんですよ。私はもう悔しくてしようがないんですね。まじめに汗をかく人、働く人、自助努力のある人が報われる国にならなくちゃいけないという私の強い思いなんですね。ですから、福岡県政にとってもそうあっていただきたいということで、失礼な質問ではありましたが、あえて知事からお答えをいただきました。
- 以下、公共事業は悪だと言わんばかりの世論や、公務員をたたけば国民の溜飲が下がるという御時世で、県職員の皆さんのやる気もそがれていっているのではないでしょうか。県においても働かない職員が得をするようではいけませんし、まじめに働く職員が報われなければならないと思っております。古代ローマは、道路、建築、治水の技術をもって繁栄し、パンとサーカスの劇場型政治をもって衰亡しました。今日、日本もその道をたどりつつあることを私は日々案じております。どんな世論にも毅然として信念を貫く姿勢がこれからの日本の政治には必要だと強く感じております。どうか、知事におかれましても、地方としての意見を臆することなく国にぶつけていただきたいと思います。
- 以上で私の質問を終わります。
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