福岡県議会(平成十九年)六月議会:一般質問
「コンテンツ産業の振興について」


コンテンツ産業の振興について

 こんにちは、自民党県議団の鬼木誠です。

 私が銀行員時代に担当していた企業が今年三月に大証ヘラクレスに上場しました。私はもう銀行員ではありませんが、福岡経済の発展をお手伝いする立場として、身近な地場企業の活躍を大変嬉しく思っています。

 この企業は携帯電話のコンテンツを扱う会社です。今回の一般質問ではこの企業を題材に、コンテンツをはじめとしたさまざまなソフトビジネスの振興について質問させていただきます。

 この企業は女性社長が平成十二年に創業した会社で、私は創業時から銀行員として担当をさせていただいていました。アイモードのスタートが平成十一年、当時はまだ携帯電話の普及もまだ途上の時期であり、私自身もようやく携帯電話を持ち出した頃でした。

 当時サーバーを購入するということで融資の相談を受けたものの、融資の稟議書を書くのに「モバイルコンテンツ」や「サーバー」といった用語を説明するのに大変だったことを思い出します。その当時のことを思うと、こうして携帯電話というツールが一大産業となった現在は隔世の感さえあります。

 この企業が今でも県に対して恩を感じていることがあります。それは県がサーバー購入にあたって補助をしてくれたことです。耐震サーバーを借りるにあたって月額の何割かの補助があったそうです。創業間もない零細ベンチャーとしては、初期投資を抑えることができて大変助かったとのことであります。このように発展途上のベンチャーには少しの公的な支援が大きな助けとなるケースがあります。成長産業に光を当てた知事の先見の明に敬意を表するところです。

 このコンテンツ会社は福岡に生まれ育ち、現在も福岡に本社を置いています。現在、営業と企画部門が東京、開発と管理部門が福岡という体制ですが、企画部門も福岡に移そうかと考えています。それはなぜか? この企業の競争力は福岡という立地にあるからです。東京に比べて人件費が低いこと、そしてまた離職率が低いことが強みとなっています。また東京に本拠を移さなくてすむ大事な要因として、福岡空港の利便性も挙げています。緊急の用がある時にもすぐに東京へ飛んで行けることが、福岡本社を可能にしていると言えます。空港の利便性は都市の競争力に直結する重大な要素であることが、こうした事例からもよくわかります。現在調査中である新福岡空港も、利便性において現空港に劣らないものでなければならないと痛感しています。

 東京より低い賃金でありながら福岡に優秀なクリエイターが留まっている背景として、地域的な賃金水準の差もさることながら「お金より環境」を求める九州人の気質があるようです。東京まで行かなくてもよりよい環境の中で充分に活躍できる、ということで九州中の優秀なクリエイターが福岡に集まっています。この流れを推進すべく、全国から一流のクリエイターが来るような流れを作らなければなりません。

 ベンチャーの小さな芽がクリエイターの独創性によって大きく育っていくというコンテンツ産業ですが、大きく育った企業が福岡に根づくための方策を知事に問いたいと思います。一般的に企業はその成長段階においてより大きな市場を求めて東京進出、そして本社移転ということが多く見受けられます。その点コンテンツ産業は、販売先は東京資本中心であっても、企画・開発・管理は福岡でということが可能になる産業です。商品であるコンテンツはデジタルデータなので、福岡にいながらにして即時にやり取りできます。だからこそコンテンツ産業には福岡で大きく成長してもらい、ますます多くの人材が福岡に集う流れを作り、業界における福岡の優位性を高めていかなければなりません。そこで、福岡がコンテンツビジネスの一大拠点となることについての知事の力強い後押しの声をお聞かせください。

 またコンテンツ産業に限らず、一般的に福岡の成長企業が福岡に根づくためにはどういう課題があるとお考えかお聞かせください。

 コンテンツ産業は典型的な労働集約型産業であるため、その肝はそれを作るクリエイター、つまり人材の育成にあります。優秀なクリエイターの育成、そして確保が、福岡のコンテンツ産業浮沈の鍵を握っています。クリエイターを目指す学生を対象としたコンテストやイベントなどで人材を発掘することや、大学や専門学校と連携した人材育成についていかがお考えでしょうか。

 福岡のデジタルコンテンツの成功例としてはゲームソフトの開発が挙げられます。「ドラゴンクエスト8」を手がけた会社や「ワンピース」シリーズを開発する会社など、全国規模の有名なゲームに福岡の企業が関わっています。

 また日本が世界に誇るコンテンツとして、マンガが挙げられます。日本のマンガはアジアをはじめとして全世界で高い評価を得ており、デジタル化が進んだ現在、さまざまなチャンネルでの販売が予想されます。

 知事はこれらのコンテンツ産業の発展や上場が福岡経済にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。またコンテンツ産業の将来性や、アジア市場に向けての可能性についてはどのようにお考えでしょうか。

 またコンテンツのヒットにかかせないのがキャラクターです。一つの人気キャラクターの存在がコンテンツの売上げを大きく左右することもおおいにあります。ところがこのキャラクターの分野において、福岡は東京の後塵を拝しています。それは、キャラクターを生み出すテレビや出版といったメディアが東京に偏在しているからだと言えます。こうした中で福岡発の人気キャラクターを世に打ち出すことができれば今後のコンテンツビジネスにおいても福岡が優位性を持つことができると考えますが、キャラクタービジネスの振興についても今後知事にご一考いただきたいと思います。

 次にファッション産業についてお尋ねします。これまでモードの世界においては欧米諸国が圧倒的な優位を誇ってきました。しかしながらこのところ日本をはじめとしたアジア諸国もファッション業界にその存在感を示しはじめています。先の2007年ミスユニバースでは日本人の森理世さんがグランプリを獲得しましたし、世界最大の人口を持つ中国はファッションモデル大国に躍り出ようとしています。そんな中、福岡でも本年度より「福岡アジアファッション産業振興事業」がスタートします。平成20年度以降には「福岡アジアコレクション」などのイベントも予定されているようです。アジアに最も近い福岡でファッションの祭典が行われることの意義は大きく、ぜひとも成功させたいものだと考えています。東京で開催された「2007年東京ガールズコレクション」、こちらは入場者数2万人を超える大盛況でした。これに負けない活況を呈しファッション業界に福岡の存在感を示してほしいと考えています。ファッションの祭典ですので既成概念に捕われない垢抜けたイベントとなることを期待します。知事の意気込みをお聞かせください。

 以上、ソフト産業において福岡がますます盛り上がっていくこと、そして成長産業が福岡に根づき福岡経済を元気にしていくことを心から願いまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

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知事答弁

コンテンツ産業の将来性とそれを踏まえた本県の拠点化への取組について
コンテンツ産業は今後大きな成長が見込まれる分野であり、その集積を図ることは、本県経済の持続的発展にとって重要であります。このため、全国に先駆けて平成十年にマルチメディア・アライアンス福岡を設立し、その後これを、福岡コンテンツ産業拠点推進会議として改組して、人材育成やビジネス機会の拡大等により、リーディング企業の育成に取り組んで参りました。その結果、ゲームソフトの分野では全国に数少ない自社ブランド販売企業や、年間百万本以上のヒット作を作る制作企業が数社育ち、また携帯コンテンツ分野ではメール装飾用コンテンツ、いわゆるデコメールのシェア日本一を誇る企業が生まれるなど、全国的にも注目されております。今後はこれらの取組みを加速してアジア市場をにらんだ一大拠点を目指して参ります。
ベンチャー企業が福岡に根づくための方策について
本県では、ベンチャー企業と投資家等との商談・交渉の場を提供する「フクオカベンチャーマーケット」を毎月開催し、これまで千三百社を超える企業が登壇し、その中から株式公開に至る企業も多く出てきております。これに加え、「九州ベンチャーパートナーズ」による資金調達支援や、ベンチャーサポートセンターによる経営・技術面での指導等、総合的な支援により、福岡を本拠に世界で活躍できるベンチャー企業の育成、定着を図って参ります。
コンテンツ産業の人材育成について
コンテンツ産業においては人材がなにより重要です。幸い本県には、九州大学芸術工学部という特色ある大学や専門学校等人材を養成する教育機関が多くあります。そういう強みを生かし、産学官で構成する福岡コンテンツ産業拠点推進会議においては、アジアデジタルアート大賞による新人クリエイターの発掘やD2Kなど民間クリエイターグループの支援、さらには優秀な人材が揃う東京における就職面談会などにより、コンテンツ産業を支える人材を育成・確保しているところです。
福岡におけるファッション産業の拠点化に向けた取組について
本県には、自社ブランドにより全国展開を行っているデザイナーやアパレルメーカーあるいは有力なデザイン会社を中核に三二〇社以上の関連企業が集積しております。これらのポテンシャルを最大限に活かし、関連産業の集積をさらに高めるため、関連企業等により「福岡アジアファッション拠点推進会議」を設立し、関係者の力を結集してアジアにおけるファッション産業の拠点化を目指して参りたいと考えております。

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