おはようございます。緑友会・新風の鬼木誠です。
今年の10月24日から、携帯電話の番号を変えずに事業者を変更できる「携帯電話番号ポータビリティ制度」が始まりました。これにより、顧客確保のため携帯各社のサービス競争に拍車がかかっています。
それ以前から、主に山間部を中心とした不通話地域の解消は携帯各社にとって大きな問題でした。競争が激化した現在、各社しのぎを削ってその解消に努めている様子がうかがえます。またわが会派でも先の決算特別委員会で、携帯電話不通話地域の解消を県に要請したところでもあります。
しかしその一方、携帯電話の基地局や電波塔の建設について、近隣住民とのトラブルが県内各地で見受けられています。その原因としては、基地建設にともなう景観などの住環境の悪化や、電磁波による健康被害に対する心配、建設時の住民説明などにおける対応の不誠実さなどが挙げられます。
これらの中で私がもっとも問題が大きいと思うのが健康被害の恐れです。電磁波が人体に悪影響を及ぼすという話は、さまざまな説を耳にするところです。例えば徳島県三好郡では、携帯電話の基地局が建設されて一ヶ月くらいでミツバチが死滅したり池の鯉が死滅したという現象が報告されました。さらに同地区では人間にも被害が及び、周辺の住居地一体に乱雑な電磁波が発生し、周辺住民は不眠や倦怠感に悩まされ、住民5名が「電磁波過敏症の疑い」と診断されたとも報告されています。
電磁波は目に見えないものですし、その影響や因果関係も証明されにくいため、実際電磁波はどれだけ危険なものなのか素人にはわかりません。ですから、さきほど挙げたような事例を聞けば電磁波に対して恐怖心ばかりが募り、基地局建設には反対という運動にもなりかねません。まず一番に精査しなければならないのは「そもそも電磁波は人体に対して危険なのか」という点だと思われます。人体に対して危険であるのなら、人体に被害が及ばないようにしかるべき規制が必要となります。電磁波に対してなんらかの規制を加えるのであれば、充分な調査に基づいた科学的に証明された根拠が必要です。
電磁波は周波数によって性質が異なります。周波数が非常に高い電磁波を電離放射線といいます。これらは高いエネルギーを持つことから、原子や分子から電子を剥ぎ取るという電離作用を起こします。生物が電離放射線にさらされると、電離作用によって遺伝子が傷つけられ、それが蓄積することにより細胞ががん化すると考えられています。電離放射線はエックス線やガンマ線などが代表的なもので、これらの電磁波については年間許容被曝量が法律によって決められています。
携帯電話に利用されている電波は電離放射線よりも周波数が低く、電離作用を起こさない非電離放射線であり、直接遺伝子には影響を与えないとされています。電離作用の有無を飛び越えて、発ガン性や被曝という言葉がひとり歩きして電磁波は危険だというイメージができてしまったのかもしれません。
そこでまず知事にお尋ねします。電磁波が健康に与える影響について本県はどう認識しているのでしょうか。どういう調査がなされ、どういう根拠での認識なのかご答弁願います。
次に、人体への安全性の面から見た電磁波の規制や基準についてお尋ねします。電波事業者が鉄塔を整備する際、電波の人体への安全性について、どういう規制や基準が設定されているのでしょうか。またそれらの基準は人体への影響に対して十分なものでしょうか。
実はこの問題は古くて新しい問題のようです。県議会においてもこれまでに何度か電波塔建設や電磁波に関する質問がなされております。そこで県庁でも、平成9年から電磁波問題連絡会議を設置しているとも聞き及んでいます。これまでこの連絡会議はどういう取り組みをし、どういう役割を果たしてきたのか、企画振興部長お答えください。
次に、電波塔建設に関する行政対応について質問します。市町村によっては条例や指導指針、事業者との協定により建築紛争の予防と調整を図っています。近いところでは久留米市や佐賀市が、電波塔の設置にあたって住民説明会などを義務づけた条例を制定しています。また福岡市は、説明や標識の設置を義務づけた事業者との協定を結んでいます。県としてこうした条例制定などは考えないでしょうか。お答えください。また電波塔設置をめぐりトラブルがおこったとき、県としてはどう対応するのかお答えください。
次に教育長にお尋ねします。イギリス保健省の管轄下にある独立研究機関である放射線防護局(NRPB)は、8歳未満の子どもには携帯電話の使用は妥当ではない、という警告を発しました。これは、頭蓋骨の発達が未熟な子どもは聴覚や脳の病気にかかりやすいという指摘を踏まえたもので、携帯電話と発病との因果関係を立証してのものではないのですが、子どもの問題は将来長い期間にわたって影響を与えるものであるため、大人以上の対応が必要だと思われます。「疑わしきは回避せよ」という予防原則をより厳格に適用すべき分野ではないでしょうか。小学生の携帯電話の使用についてはどのような指導がなされているのかお答えください。
電磁波について調べ、いろいろな健康被害の話を聞く中で私は一抹の不安を拭い去ることはできませんでした。なぜなら電磁波が危険であるということは立証されていない一方、完全に安全であることも立証されていないからです。
しかし私は「電磁波は危険なものだ」といたずらに不安をあおるようなことがあってもよくないと考えています。産業の発展は景気・雇用の活性化など社会にとってプラスであり、それを根拠なく阻害することは社会にとってマイナスであるからです。極論すればこの問題は産業と環境の対立ということになるかもしれません。産業のために環境を犠牲にしてはなりませんし、環境を過度に保護することでいたずらに産業を後退させるのもいかがなものかと思われるところです。人間にとって良い環境を守れるだけの規制をしたうえで産業の振興も進めるという両立の姿勢が必要です。ただこの問題を複雑にしているのが、電磁波が人体に与える影響が充分に立証されていないという点です。
だからこそ電磁波の安全性については、現時点でわかりうる最新の科学的根拠を持って正面から議論し、県民に安心して生活してもらえる環境づくりが必要だと考えます。充分な根拠に基づいた適切な対応を求めまして質問を終わります。
現時点の基準はWHOなどによる長年の研究を経てできたもので、電磁波が人体に深刻な影響をおよぼさない強さであるよう規制がなされていることは理解できました。
しかしながら、先ほど述べたイギリスの研究機関をはじめ、EUの出資を受けて実施された研究「REFLEXプロジェクト」の中でも、電磁波の人体への悪影響については疑念が残されています。さきほどの答弁の根拠ともなったわが国の総務省の生体電磁環境研究推進委員会、この委員会が特定の省庁の権益や利害関係から独立できているかという点、その科学的公平性に疑問があるという指摘もあるところです。現時点で科学的に解明されている範囲ではまだ規制を強めることはできないなと私も感じていますが、今後も充分に注意を払うことが必要だと感じています。
庁内でも電磁波問題連絡会議があり情報の収集や交換がなされているということですが、とても重要なことだと思います。これを形骸化させることなく、しっかり危機意識を持って今後の動向を追っていただきたいと思います。
今後、電磁波による健康被害の情報には敏感に反応し、新たに健康被害が証明されるようなことがあれば速やかな対応を取られることを要望し私の質問を終わります。ありがとうございました。