緑友会・新風の鬼木誠です。今回は、現代女性が抱える深刻な問題について質問致します。一点は一人で子どもを育てている女性、もう一点は家庭内の暴力、いわゆるDVに苦しんでいる女性についての問題です。もちろんこれらの問題は女性だけでなく男性についても起こっている問題ですので、男性についても触れながら、これらの問題の社会的背景そして解決策について考えてみたいと思います。
まずは一人で子どもを育てている女性についてです。女性が経済的に苦労する代表的な事例として挙げられるのが母子家庭です。ひとくちに母子家庭と言ってもそうなるに至る原因はさまざまです。離婚によるもの、死別によるもの、また籍を入れずに未婚の母として子育てをするケースなど、人それぞれの背景があります。
ひと昔前までは離婚というと世間体も悪く、男女ともそれが社会的ハンデとなっていました。また女性の就業が困難だったこともあり、夫の暴力や放蕩があろうとじっと我慢し続ける女性が多かったのではないでしょうか。「子はかすがい」とのことわざにあるように、子どものために泣く泣く結婚生活を続けることもあったことでしょう。
しかし最近では状況も大きく変わり、離婚は珍しいことではなくなってきました。女性が収入を得る道が増えたこともあり、子どものために自分を押し殺して結婚生活を継続することは減ってきています。
その分、離婚率も高まり、離婚を原因とする母子家庭は増えてきています。少々古い調査ではありますが、平成13年に本県で母子世帯となった原因は、「離婚」が78.0%で、「配偶者の病死」は11.3%でした。病死は減少傾向にありますが、離婚は十一年前の平成2年と比べると14.8ポイント増加しています。
母子家庭で困ることはなんと言ってもお金の問題です。一人で子どもを育てながら収入を得なければなりません。前述の調査では離婚世帯の7割が養育費を受けていないなど、取り巻く環境は厳しいものがあります。そうした中、金銭的な支援をしてあげられるような取り組みはどのように充実されてあるでしょうか。医療負担や社会保障費の軽減、母子家庭への融資制度の活用状況をお答えください。
また、直接の金銭的な支援のほかにも、ソフト面・サービス面の支援があればずいぶん助かるのではないかと私は考えます。就職のこと、子育てのこと、さまざまな悩みを一人で抱える母親の相談にのってあげられる公的機関やコミュニティの整備は充実していますでしょうか。仕事にも精を出さざるを得ない母親に、子育て支援策はありますでしょうか。また、母親ばかりではなく、近年では父子家庭も増えてきております。仕事と子育てのバランスの中で、母子家庭の主たる悩みがお金や仕事だとすれば、父子家庭は子育てに悩んでいるのではないでしょうか。父子家庭の支援状況は母子家庭と同等なのでしょうか。父子家庭の支援状況についてお答えください。
さて、こうした対処療法も必要ですが、それ以上に大切なのはそもそも離婚がおこらないようにすることです。どうすれば離婚が減るのかを考えてみたいと思います。
最近では若年者に限らず熟年離婚も社会問題となっています。ですから、よくある「最近の若い者はこらえ性がない。」という論理で片付けたり、離婚を絶対的に悪いものと決めつけたりすることは避けたいと思います。それぞれの家庭でどうにもならない種々の事情があって、やむを得ずそうせざるをえなかったのだと思います。夫婦間のデリケートな問題に私が口を挟むものではありません。かくいう私がいつ妻から三行半をつきつけられるかもわからないのです。つい先日は、タレントのそのまんま東さんが妻のかとうかず子さんと離婚に至りました。その会見上、離婚理由が東さんの政界進出の夢にあったということを知り、まさに人生いろいろであるなあと、我が身を振り返りました。
さていろいろな離婚理由がある中ここで問題提起したいのは、だらしない生活観念によって結婚生活を破綻させるケースです。一方の配偶者がパチンコなどのギャンブルや遊興費で借金を作り、経済的な破綻により離婚に至るといったケースです。離婚原因の中でも「配偶者の浪費」と「生活費を渡さない」という経済原因は常に上位の一角を占めています。私が議会で再三主張している「正しい金銭管理の修得」や「賢い消費者としての知識」が必要であり、これはまさに教育の仕事であります。「読み書きそろばん」も大事ですが、生きる知恵としてこれらのことを教えておく必要があると思います。
先日、ライブドア社の堀江社長が逮捕されたことにより、おもちゃメーカーのタカラが「人生ゲーム・M&A」の出荷自粛を発表しました。これは以前からある人生ゲームというボードゲームに企業の合併・買収などの要素を取り入れたものです。お金が最大の価値であるとするこのゲームへの社会的反発を懸念しての出荷自粛となりました。私のいう金銭教育がこれらのマネーゲームと混同されて、教育現場が萎縮しているのではないかと危惧しております。アメリカなどで行われている、子どもに遊び感覚で株の売買などを競わせる教育とは完全に別物であることをご理解いただきたいと思います。
行き過ぎた金銭至上主義の時代であるからこそ、地道に働いてお金を稼ぐことのたいへんさ尊さ、それをきちんと管理して大事に使うことの大切さを教えるべきです。浪費や多重債務を防ぐ教育が徹底されれば経済破綻による家庭崩壊を減らすことができると思いますが、教育長はいかがお考えでしょうか。
また「シングルマザー」という言葉に表される未婚の母も少なくありません。妊娠が分かったときに結婚する意思がない、もしくは結婚できない状況があったとしたら、シビアな選択が迫られることになります。出産するか中絶するか、一人で育てることは困難だが授かった命を殺すようなことはできない、という苦悩の中で決断を迫られます。一人で生み育てる決断をしたシングルマザーもまた、先に述べた母子家庭の悩みを抱えることとなります。
自ら望んで、また相当な覚悟を持ってシングルマザーという生き方を選択している方もいらっしゃいますし、そうすることが母子にとって最も幸福な選択であるケースもあります。ですから一様に不幸なイメージで語ることは大変失礼で申し訳ないのですが、やはり現実の生活においては多くの方がたいへん苦労をされています。
シングルマザーになる理由はさまざまですが、そのひとつとして、人生経験の少ない若年者が一時の恋愛感情や激情に心を奪われ妊娠、そして出産に至るケースが多くあります。私より上の世代の方々には身近な問題として認識されていないかもしれませんが、私の世代から下の年代では実に身近に見られる問題となっています。若年者の出産は、結婚したとしてもお互いに未熟であるため長続きせず、結局は離婚につながることが多くあります。そういった事態を防ぐために、私がどうしても必要だと考えるのが性教育です。
昨年の9月議会で私は、「子どもは元来なまけものである」と述べました。遊ぶのも勉強するのもあなたの自由です、となれば、子どもは一日中遊ぶに決まっている。そこを無理にでも勉強させるのが大人の役目である、と述べました。性教育にしても同じことが言えます。全てを子どもの自主性と判断に任せて放っていれば、心身の変化が激しく不安定な時期にある子ども達は自分を見失うこともあるでしょう。しっかりした教育と指導が必要です。流されていては自分の人生に大きな問題を残しかねないということを、大人が口を酸っぱくして伝えなければいけません。
中学生の時分、母が私に突然言いました。「子どもを作ったらいかんよ。保証人にはなったらいかんよ。」私にそれらしい行動はなかったにもかかわらず突然にそう言われ、何を言っているんだと驚きました。しかし今思えばこれが教育です。実生活に生きる教えです。人生経験のない子ども達は、放っておけば易きに流されかねません。収入も無く責任も持てない身で子どもを作ってしまったら大変なことになる、何もわからないうちに人の保証人に立ってしまったら大変なことになる、それだけは我が子にさせてはいけないという一心での行動だったのだと思います。
男性はもとより、特に女性の場合は性行為によって自分の身が傷つくことが往々にしてあります。人工妊娠中絶や性感染症など、一生に関わる重大な傷になりかねません。クラミジア感染者の十数%は十代の若年者であるという報告もあります。この感染症は自覚症状がなくても体内で炎症を起こしますし、他人にも感染します。炎症は後に不妊の原因となったり子宮外妊娠の原因となったりします。また性感染症に罹患しているとHIVへの感染率が数倍から百倍にも跳ね上がるとも言われています。こうした大変な事実を子ども達は認識しているのでしょうか。
性に関する情報が氾濫する時代、興味本位での快楽の追求が先走っています。子ども達に性行為をさせないという方向で学校が監視・規制するというのには現実的に限界があると思われます。「学生のうちは性行為をしてはいけない。」と教えるのが本来のあるべき姿なのかもしれませんが、頭ごなしにいけないと言うだけでは今子ども達が置かれている現実に対応できません。
いたずらに刺激を与える悪い情報ばかりが子ども達に入る中で、「自分達はどうあるべきなのか」という規範が誰からも示されていないことに問題があるのではないでしょうか。扱いにくい問題として蓋をするのではなく、教育の中で子ども達に真剣に語りかけるべきです。
そこで学校教育にできることは、特に女性については、自分を大切にすることを教えることだと考えます。「安易な性行為は自分を傷つけることになりかねない。もし仮にそういう場面に遭遇したときには、必ず避妊具を着用するように。」と、それだけでも徹底して理解させることができれば、状況はかなり変わると思われます。
また男性に対しても女性を大切にすることを教えなければなりません。自分の行動によって女性の心身を傷つけたり、人生を思わぬ方向に変えたりしてしまうことがあることを自覚させなければなりません。
自分を大事にすること、相手を大事にすること、そのためには安易な妊娠や性感染症を避けるための手だてが必要であること、これらの重要性を認識させることが必要だと考えます。
そうして「自分の行動に責任を持つ」という行動規範を身に付けさせることが必要ではないでしょうか。責任を持つとはどういうことか、自分の行為に対して起こった全ての結果を自分で背負っていくのだ、ということとその重さを教えなければなりません。
教える側の先生にしても、性教育に対する照れや、性教育をタブー視しているところがなかったでしょうか。先生が正面から向かい合わないことには生徒には伝わりません。生徒の身体と今後の人生のことを心から心配し、熱意をもって語りかければ生徒にはきっと伝わると思いますが、教育長、いかがでしょうか。
最後にDV、すなわち家庭内暴力について質問します。
配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、外部からその発見が困難な家庭内で行われるため、潜在化しやすく、しかも加害者に罪の意識が薄いという傾向があります。さらに被害者の救済は必ずしも十分に行われてこなかったことから、平成十三年四月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(配偶者暴力防止法)が公布されました。
福岡県でも平成十三年十月に「男女が性別によって差別されることなく、その人権が尊重される」ことを基本理念とする福岡県男女共同参画推進条例を制定したところであります。さらに、平成十六年十二月には改正配偶者暴力防止法が施行され、暴力の定義に「心身に有害な影響を及ぼす言動」が加えられるとともに、地方自治体の責務として被害者の保護に加えて自立支援が明記され、県の果たすべき役割は大きくなっています。
さて、昨年の十月に、西鉄高宮駅で横浜市の元裁判官で現在弁護士である父親と祖父が、いやがる小学校三年生の実の娘を無理矢理連れ去る事件が発生しました。このことはみなさんの記憶に新しいと思います。
この事件は、都会の駅で多数の乗客の目前で行われたことや、加害者である元夫が元裁判官で現在は弁護士という、いわゆる法律を守る立場の職業だったことが話題となりました。また事件の背景に配偶者からの暴力被害があったことが報じられました。被害にあった児童は、家庭内暴力が理由で離婚をした母親に連れられて、母親の実家がある福岡に移り住んでいました。母親は元夫から更に暴力を受ける恐れがあることから、元夫に対して配偶者暴力防止法による接近禁止の保護命令を受けていたと新聞は報じておりました。
このように配偶者暴力被害は加害者の職業や社会的地位に関係なくどのような家庭でも起こりうることでありますがなかなか表に出にくい傾向にあります。
平成十六年度に県が実施した「福岡県男女共同参画社会に向けての意識調査」によりますと配偶者暴力防止法の成立について知っている人は約七五%となっていますが、その法律の内容まで知っている人は約十六%にとどまっております。また配偶者暴力と認識される行為については、身体に対する暴力については意識が高いのですが、「何を言っても長期間無視し続ける」や「大声で怒鳴る」などの精神的な暴力は「暴力に当たるとは思わない」との回答が一割強もあり認識の低さを表しています。それ故に、精神的な暴力も暴力に当たるという認識を広めることが更に必要となっております。 そこで知事にお尋ねします。配偶者暴力防止の広報、啓発について現在どのように取り組まれているのでしょうか。
また、被害者は加害者から行動を監視され、自由な活動を制限されたり、親や親戚とのつきあいを禁じられたりして社会的に孤立させられていることも多く、自分の抱える問題を他の人に相談することもできずにいることが多いと言われています。そういう人がやっとの思いで相談しようと考えたときの窓口はどこに行けばよいのでしょうか。
さらに、家を出ようと決心した被害者は、加害者からの追及に対して殺されるほどの恐怖感を抱いている人が多いと聞きます。被害者が安心して相談をし一時保護を受けるためには、加害者に被害者の情報が漏れないようにすることが必要ですが、そのための取り組みはどのようにされているのでしょうか。
また、被害者が一時保護所を退所後新たな生活を始めるためには、住む家を探したり仕事を探したり子どもの学校の手続きをしたりとさまざまな支援が必要となりますが、どういう支援策がとられているのでしょうか。
以上、結婚・出産・性教育といったデリケートな部分、家族や家庭というもののあり方や価値観に触れる部分もあり、いろいろと異論や誤解も生じるかもしれませんが、それらを恐れず発言させていただきました。母子家庭やDVで深刻な悩みを抱えていらっしゃる方々の力になりたい、またこういった問題を未然に防ぎたいという思いで発言したということだけはご理解いただきたいと存じます。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
知事、教育長、ご答弁ありがとうございました。
性教育についてひとこと申し上げます。
避妊を性教育の中で扱うことは是非が大きく分かれるところであります。実際に、文部科学省の学習指導要領においては、性教育の中では避妊について触れないこととなっております。「避妊を教えることは性行為の容認につながるからそれはできない」、という論理構成はもっともな気もします。しかし私が訴えたいのは、その方針が現実に対応できていないという点であります。今回の私の発言は過激なものとして波風が立つことも予想されましたが、止むに止まれぬ思いで発言致しました。
確かに近年見かけられるコンドームを配布するようなやり方は行き過ぎで、弊害のほうが大きいと感じます。もっとその内面の部分、生徒と教師が真剣に向き合うことが重要だと考えます。本当に大切なことは避妊云々の前に、自他を思いやる心や、命の尊厳を知ることや、自らの行動に責任を持つことで生徒自身が判断する能力を身に付けることです。
価値観に踏み込む難しい問題であるため、教育現場では、摩擦を恐れてこれまで腰が引けていたのではないでしょうか。だから今、大人が議論しても答えが出ない問題に、子ども達がいきなり出くわすことになっているのです。私達はもっとこの問題に踏み込んで、子ども達に規範を示せるようにならなければいけないのではないでしょうか。
今後地方分権が進む中で、福岡県独自の教育が求められる日がやってきつつあります。その時に、胸を張って子ども達に示せる規範を確立していただきたいと要望致しまして、私の一般質問を終了致します。
ご静聴ありがとうございました。